ラーメン店「麺ジャラスK」を経営している川田利明は、事実上のプロレス引退から約10年の時が経ちました。
最近は、プロレス興行の「Holy War」の開催や、ビジネス本「開業から3年以内に8割が潰れるラーメン屋を失敗を重ねながら10年も続けてきたプロレスラーが伝える『してはいけない』逆説ビジネス学」の出版など、ラーメン店以外にも意欲的な活動を見せています。
そんな活躍を見せている川田のことを久しぶり気になった僕は、川田のラーメン店「麺ジャラスK」に足を運ぶことにしました。
約5年前の麺ジャラスKはまずかった
実は5年程前に、麺ジャラスKに行ったことがあります。
その際の感想は、「リピートはしないな」「まずいと思われても仕方がない」でした。
遠くない将来閉店するだろうな、という禍々しい未来を案じるほどでした。
あれから約5年、ビジネス本の題名が「開業から3年以内に8割が潰れるラーメン屋を失敗を重ねながら10年も続けてきたーー(以下省略)」だけに、苦境を乗り越え、良化されたラーメンと再会出来るのではないか、という淡い期待を寄せながらお店に向かいました。
ラーメンの種類と店内の様子
麺ジャラスKは、小田急小田原線の成城学園前駅から徒歩16分の場所にあります。
外観はこんな感じです。
引用元:https://www.tripadvisor.jp/LocationPhotoDirectLink-g1066455-d7493079-i140525781-Men_Jarasu_K-Setagaya_Tokyo_Tokyo_Prefecture_Kanto.html
入り口は黒いガラス張りになっており、窓はグレイのシートで覆われています。
外から店内の様子は全くうかがい知る術がないので、初めて行く人は入店するのに勇気がいるかもしれません。
店内に入ったのは土曜日の12:50頃、ラーメン屋にとってのかき入れ時でしょう。
こじんまりとしたフロアで、川田の奥さんと思われる女性が接客をしていました。
2人座りのテーブルが2卓、3人座りのテーブルが1卓、4人座りのテーブルが1卓、カウンター4席の全15席です。
先客が3組おり、それなりに繁盛していました。
麺ジャラスKは、オーダー制ではなく食券制です。
券売機には、「カレー白湯(ぱいたん)ラーメン」「鶏白湯ラーメン」「カレー台湾ラーメン」「台湾ラーメン」の4種類がランナップされています。
以前食べた海老白湯ラーメンがなかったので、試行錯誤の末に現在のメニューに落ち着いたのでしょう。
とはいえ、ランチだからなのか、選択出来るのはカレー白湯ラーメン(980円)だけでした。
変わり種と思われるカレー白湯ラーメンに一抹の不安を抱きましたが、選択肢がないのでそれを選びます。
併せて、以前食べて美味しかったと記憶している唐揚げのハーフ(580円)も買い求めました。
食券を女性スタッフに渡した後は、誰もいない4人座りのテーブルに案内されます。
混雑時は、相席をお願いされるのかもしれません。
黒で統一された店内の様子を見渡すと、フロアとキッチンはパーテーションで区分けされていますが、料理を提供出来るように一部分はパーテーションがありません。
その部分から、キッチンで調理する川田の様子が見えます。
また、店内で特に目を見張ったのが、店内ルールが明記された張り紙です。
・店内の撮影は禁止!ただし、食べ物の撮影はOK
・食べ終わったら即退店をお願いします。但し、ボトルキープをされている方はごゆっくりお過ごしください
・王道Tシャツをお買い上げの方のみ、川田との写真撮影がOK
「頑固オヤジっぷりを発揮してるなぁ。でも、だからこそ全日本プロレスで四天王と呼ばれる存在になったんだろうなぁ」
などと川田の現役時代に思いを馳せながら、ラーメンが来るのを待っていると1人のお客さんが来店します。
すると、川田がキッチンから顔をのぞかせ、お客さんに声をかけ始めます。
川田「お、△△くん、久しぶりじゃん」
常連さん「お久しぶりです。今日の夜、米さん(モハメド・ヨネ)のお店で、谷口周平が1日店長をやるイベントがあるので行ってくるんですよ。」
川田「あいつ(谷口)喋んねーからなぁ。俺も行こうかな。」
常連さん「え、お店はどうするんですか?」
川田「△△くんに任せる!」
常連さん「ちょっと!やめてくださいよ~」
と冗談を交えながら気さくに接していました。
その様子は、店内ルールとは反するような雰囲気でした。
常連のお客さんのことは大切にしているのかもしれませんね。
食券を渡して30分弱経った頃でしょうか。
ようやく、僕の手元にカレー白湯ラーメンが届きます。
提供時間は、他のラーメン屋よりは少し遅いかもしれません。
ただ、川田が1人でキッチンを切り盛りしているので少し仕方ないかもしれません。
カレー白湯ラーメンの味は?
上記画像がカレー白湯ラーメンです。
中太の丸麺の上に浮かんでいるのは、ローストポーク、フライドガーリック、玉ねぎ、刻みネギです。
具材のチョイスからして、変わり種ラーメンの匂いがプンプンします。
れんげにスープをすくうと、天下一品のこってりラーメンを連想させる程のとろみがあります。
スープの口当たりは天下一品のこってりラーメンを彷彿とさせ、それにカレー味を加えた感じです。
ピリッとするような辛味はなく、まろやかな味なので、辛いのが苦手な方でも食べられるラーメンです。
天下一品のこってりラーメンを食べたことがない人のために、他の例えをするなら、カップヌードルのカレー味にコクが加わったような味と言えるでしょう。
麺をすする際は、とろみのあるスープがよく絡んで美味しいです。
ローストポークとフライドガーリックが良いアクセントになっています。
以前食べた海老白湯ラーメンが美味しいと言える味ではなかっただけに、正直、今回も期待はしていませんでした。
しかし、その予想を大きく覆すほど、カレー白湯ラーメンは美味しかったです。
箸がよく進み、途中できた唐揚げを放置するほど掻っ喰らいました。
川田のぶっちゃけ話
ラーメンの満足感に浸った僕は、次いで唐揚げに手を伸ばしました。
すると、キッチンから「まだ、唐揚げ食べてなかったの?」と声がします。
声がする方を見たら、なんとあの川田が見ているではないでしょうか。
僕は慌ててしまいました。
何を隠そう、僕がプロレスを好きになるきっかけをくれたのは川田だからです。(川田VS小橋の三冠戦だと思います)
そう、僕にとって川田は一種の恩人なのです。
不意打ちを食らった、僕は頑張って喋ります。
僕「ラーメンが美味しいので集中していました^^;」
川田「唐揚げは冷めないうちに食べた方が美味しいんだよ。」
僕「そうですよね(;'∀')」
といいながら、テーブルに設置してある唐揚げ用の塩・コショウを振りかけます。
川田「唐揚げは一応味ついているよ。」
僕「あ、そうなんですね。」
川田は、畳み掛けるように僕に絡んできます。
川田「そのラーメン大盛りなの気付かなかった?」
僕「え、そうなんですね。気付かなかったです。」
川田「みんな大盛りだってことに気付かないんだよ。女の人もペロって食べちゃうんだよ。」
僕「美味しいからじゃないですかね!(^^)!」
川田「食券に大盛りって書くとみんな買わなくなるから書かないようにしているんだよ。」
僕「そうなんですね~」
なんで大盛り?サービス?それとも、元から大盛り?と頭の中はハテナでいっぱいでした。
緊張してしまった僕は、川田にその疑問点を聞くことが出来ませんでした。
気づくと、昼のラストオーダー13:30を過ぎ店内にいるお客さんは、僕と常連さんだけでした。
キッチンが落ち着いたのか、僕との会話が終わった川田は、常連さんと会話を始めます。
川田「初めてのお客さんにオススメは何ですかって聞かれるから『カレー白湯』て答えるんだけど、みんな鶏白湯を頼むんだよ。だから、『カレー白湯』しか買えないようにしたんだよ。」
そうか、だからカレー白湯しか選べない仕様になってたのか、と理解しました。
若干の強引なやり方にプロレスラーらしさも感じつつも、自分が作るラーメンに自信を持っていることが垣間見られました。
ちなみに、常にカレー白湯しか頼めない仕様になっているのかどうかは分かりませんでした。
また、このようなことも言っていました。
川田「うちは唐揚げもオススメなんだけど、初めて来た人は絶対唐揚げを頼まない」
なるほど、だから僕のことはリピーターだと思い話しかけてくれたのか、と。
もし、川田に話しかけてもらいたい人は、唐揚げを頼むとよいかもしれません。
ちなみに、川田のお墨付き通り、唐揚げは外はカリ、中はジューシーで美味しいです。
ラーメンとセットで頼むのがオススメです。
良化された麺ジャラスK
食べログなどで、麺ジャラスKの過去レビューを見ると「プロレスファンで成り立っている店」「味が微妙」など厳しい意見が寄せられています。
しかし、最近のレビューを見る限りでは、麺ジャラスKは良化されているように感じます。
実際、今回足を運んでみても、同じ人が作ったとは思えないほどラーメンが美味しくなっています。
僕が行かなかった5年間の間に多くの失敗を重ね、改善を尽くしたのかもしれません。
ラーメン屋を開業するに至った経緯
良化された麺ジャラスKに真摯な姿勢を感じた僕は、川田がラーメン屋を開業するに至った経緯を調べてみました。
すると以下の事実が分かりました。
最近、川田本人が週刊誌のインタビューで答えていました。徐々に引退後の事は考えていたそうですが、最大のきっかけは、高校時代からの先輩である三沢さんの死であると。川田自身、全日本時代の02年に膝を負傷し入院した際、何らかの菌に感染した為に一時危篤状態に陥り、生死の境をさ迷った経験があるので、他人事ではなかったようです。切っても切り離せない存在の三沢さんがリング上で事故死したことから、本気でプロレスの危険性・恐さ、そして命の尊さを再認識し、第二の人生を真剣に考えた結果が現在に至るそうです。1年間、とあるラーメン店で修業し、現在は自ら厨房に立ち、奥様と2人で切り盛りしています。
引用元:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1057021920?__ysp=5bed55Sw5Yip5piO44GV44KT44Gv5L2V44GM44GN44Gj44GL44GR44Gn44Op44O844Oh44Oz5bGL44GV44KT44KS44Gv44GY44KB44Gf44Gu77yf
飲食店を開業するにしても、居酒屋やカフェなど、他の選択肢があるにも関わらず、なぜラーメン屋をチョイスしたのかは分かりませんでした。
しかし、全日本プロレスの頂点を極めた男が、1からラーメン屋で修行したという過去に、川田の驕らない姿勢と、並々ならぬ覚悟が感じられました。
それだけに、麺ジャラスKが良化されたのも頷けました。
終わりに
麺ジャラスKの情報をまとめたいと思います。
【住所】
東京都世田谷区喜多見6-18-7 ビスタ成城 1F
※成城学園駅から1.3キロ(徒歩16分)
【営業時間】
昼…12:00~14:00(ラストオーダー13:30)
夜…18:00~22:00(ラストオーダー21:00)
定休日…火曜日
【HP】
ありません。
Twitterならやっています。
【混雑状況】
常連さんとの会話から
・土日は比較的混む
・日曜日の夜は混まない
・平日は混まない
という情報を得られました。
川田と会話したい方は、混まない時間帯に行くと僕のように話しかけてくれるかもしれません。
【オススメメニュー】
カレー白湯ラーメン(980円)
唐揚げハーフ(580円)
【行く前の注意点】
イベント等の参加で、休店・営業時間の変更をする際は、Twitterでお知らせをしています。
行く前に、麺ジャラスKのTwitterで、営業しているかどうかの確認をするのがベターです。
最後に、店内の様子を写真に収めることが出来なかった代わりに、中西学と永田裕志が番組企画で麺ジャラスKに行った際の動画を載せておきます。
少しだけお店の様子を見ることが出来ます。
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