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「服選びのコツ」ー 似合うかどうかよりも好きかどうか

2025年5月28日

似合うって、誰のため?

「何を着ても、なんだかしっくりこない」

そんな風に感じたことはありませんか?

僕は10代の頃、服を“誰かの正解”から選んでいた気がします。
でもあるとき、古着との出会いが、少しずつその感覚を変えてくれました。

 

「似合う」がわからなかった自分

昔から、服を選ぶのが苦手でした。試着室の鏡の前で立ちすくんでしまい、「うーん……」と首をかしげるばかり。雑誌で見た「おしゃれっぽい」コーデを真似してみても、何だかしっくりこない。周りの目を気にして、無難な選択をしてしまう自分がいました。

中学時代、周りの友達が似たような服を着ている中で、僕はどこか息苦しさを感じていました。「みんなと同じでないと浮いてしまう」と思い、なんとなく取り残された気分になったことを覚えています。そんな時、街の服屋で目にしたジャケットがありました。

「この服、好きだけど……本当に自分に似合うのかな?」

何度もそのジャケットを遠くから眺めましたが、結局手に取ることはできませんでした。それはまるで、僕がその服を選ぶためには“もっと堂々としないといけない”ような気がしていたからです。周りの目を気にしすぎて、自分の「好き」を声にすることさえ、怖く感じていたのです。

その気持ちはやがて、何を選んでも「どうせ似合わない」と思うようになり、自分らしさを見失ってしまう原因となりました。服を買うたびに、心のどこかで疲れてしまう。そんな時期が長く続いていました。

 

自分の「好き」がわからなかった頃

服に限らず、僕は“模範解答”を探して生きてきた気がします。
どんな進路を選ぶべきか、どんな言葉をかければ嫌われないか。
間違えたくない。失敗したくない。
そんな気持ちばかりが先に立って、「無難な選択」ばかりをしてきました。

服も同じでした。

「これ、変じゃないかな」「雑誌に載ってたやつだし、外さないはず」

そんなふうに、"正しそうな答え"を手がかりに、なんとか安心しようとしていたんです。

でも、その安心感はどこか借り物で、心の底では満たされない何かがあったのかもしれません。だからこそ、本当は、自分の「好き」や「これ、着てみたいかも」という気持ちを、ただ信じてみたかったのかもしれません。

それがどれだけささやかな感情でも、誰かの正解よりも、「自分の心にしっくりくること」の方が、ずっと大切だったと、今なら思えるんです。

 

正解の外にある選択

ある日のこと。
なんとなく入った古着屋で、思わず足が止まりました。

整っているとは言えない店内。
シャツ、ジャケット、パンツが、ジャンルも年代もバラバラに並んでいて、どれも少しクセがある。個性的で、どこか自由でした。

それは新品でもなければ、流行のど真ん中でもない。
ましてや、雑誌に載っているような“おしゃれのセオリーとは程遠いものでした。

でも、なぜか目が離せなかったんです。

一枚一枚の服が、「ちゃんと選ばなきゃ」とか「似合わなかったらどうしよう」とか、そういうプレッシャーを全然かけてこない。
ただ、「これ、ちょっといいかも」と思える自分の直感を、ふと信じてみたくなるような空気がありました。

もしかしたら、“なんとなく”を信じられたのは、この時が初めてだったかもしれません。

 

他人の視線じゃなく、自分の気持ちにフィットするかどうか

それから、少しずつ服との向き合い方が変わっていきました。
雑誌が教えてくれる“誰かの基準”ではなく、「自分がどう感じるか」が選ぶ基準になっていったんです。

誰かの視線よりも、その服を着ている自分が心地よくいられるかどうか。

鏡の前で「これ、いいかも」と思えたら、それだけで十分だと思えるようになっていました。

不思議なもので、そうやって選んだ服のほうが、まわりから「似合うね」「おしゃれだね」と言ってもらえることが増えていきました。
きっとそれは、“正解”に合わせるんじゃなく、自分という輪郭にちゃんとフィットするものを、自然と選べるようになっていたからかもしれません。

 

選ばない自由と、好きな自分

今では、服を選ぶことには自信があります。
数十年、試行錯誤を繰り返してきたからこそ、“自分にとっての心地よさ”が何か、はっきりわかるようになっています。

今日の僕は、古着のTシャツにジーンズ。
決して華やかではないけれど、今日の自分にはこれがちょうどいいのです。

服を選ぶというのは、本来もっと自由で、曖昧で、直感的なもの。

「似合うかどうか」よりも、「これが好き」と思えるかどうか。

誰かの評価を気にせず、自分のスタイルを心から楽しんでいる人を見ると、なんだか勇気をもらえます。例えば、テレビでよくお見かけしていた林家ペー・パー子さんです。全身ピンクのあの姿は、すごくハッピーそうじゃないですか。

誰かの“ものさし”なんて気にせず、自分の「好き」をまっすぐに楽しんでいる。

その姿を見るたび、僕はなんだか元気をもらえる気がします。

そうやって選んだ一枚には、今日の自分をちゃんと肯定できる、小さくても確かな信頼が宿っていると思うんです。

さて、あなたが今日着ているその服は、“好き”と胸を張って言えるものですか?

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かめたく

ファッションとプロレスをこよなく愛する元アパレル店員。独自理論に基づいた着こなし術や人気ファッションアイテムの体験記。また、マニアックな視点から捉えたプロレスの魅力をお伝えします。

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