最近、プロレスプームと言われるようになり、
NHKの「クローズアップ現代+」では新日本プロレスが特集されるほどになりました。
その注目度はスポーツバーに飛び火し、昨年からは定期的にHUBで試合中継がされています。
「新日本プロレスもだいぶ盛り上がってきたなぁ」
プロレス暗黒時代を知っている僕からすると非常に嬉しい流れです。
「けど待てよ…?」と。
バーといえば、サッカー観戦という強いイメージがあります。
ですので、プロレス観戦を想像することが難しいのです。
もしかしたら、店内では放映されているけど、お客さんは誰も見ていないというサブい状態なのではないか。
僕は、そんな心配を抱いてしまいました。
どうしても気になる僕は、その真相を調査するためにHUBに新日本プロレスを観戦しに行ってきました。
HUB店内の様子
観戦に行ったのは2018年7月20日。
当日は、都内のHUB11店舗で放映が予定されていました。
誰も観ていない中、一人で見るのは不安だなと思った僕は、
せめてもの救いに当日試合が行われる後楽園ホールからほど近い、
「東京ドームシティ ラクーア店」に同志がいることを願いながら向かいました。
HUBに着いたのは19:40頃。
店内に入るとまず目に入ったのが、新日本プロレスが中継されていたモニター。
そして、まさかの嬉しい光景が目の前には広がっていました。
そう、店内はなんとプロレス観戦するお客さんでほぼ満席だったのです。
約40名程が観戦を楽しんでおり、その現実だけで、僕は感激してしまいました。
そんな僕に店員は
「何名様ですか?」
と声をかけてきました。
「1名です。」
「禁煙席と喫煙席どちらが希望でしょうか?」
「プロレスが観れる席がいいんですけど。」
「でしたら禁煙席になるのですが、現在テーブル席は満席でこちらのカウンター席のみ空いています。」
店内を見渡すと、どの禁煙席からも観られるように5つのモニターが配置されていました。
さらに、奥の隔離されたスペースに喫煙席がありました。
どうやら、喫煙席からは観戦が出来ないようです。
プロレス観戦が目的の僕は、店員に案内された禁煙席の壁向かいのカウンター席に座りました。
すると、僕と同じようなOLやサラリーマンなどの1人客が7、8名ほど
酒とつまみを片手にプロレス観戦を楽しんでいました。
「なんだ、一人で来ても全然気まずくないじゃん。」
一人観戦でも大丈夫な雰囲気を確認した僕は、受付カウンターで飲み物を注文しにいきました。
HUBでは、各種アルコールやソフトドリンク、様々な料理が取り揃えられています。
当日飲む気がなかった僕はペプシコーラで観戦を楽しむことにしました。
テーブル席には、プロレス好き仲間で訪れたサラリーマン5人組や女性2人組、カップル、夫婦など、
様々なお客さんが思い思いに楽しんでいました。
盛り上がりに合わせて、歓声を上げるお客さん、選手の反則行為にブーイングをする人たち、
ここはまるで試合会場ではないかと錯覚を覚えるほどの盛り上がりでした。
かなりの音量でライブ映像が流れていましたが、実況解説の音声が聞き取れないほどです。
それを差し引いても楽しく観戦出来ました。
楽しくなってきた僕は、
ミックスナッツとお酒を追加で頼みました。
そう、HUBでは食事しながら観戦が楽しめるんです。
会場ではできない観戦方法ですね。
女性客がプ女子になる瞬間を期待して
さて、今回僕には裏テーマがありました。
それは、「HUBにいる女性が、『プ女子』になる瞬間があるのかどうか」です。
モニターの見えない喫煙席では、プロレスファンではない人達がたくさんいましたが、
禁煙席では約50名がおり、そのうち10名ほどはプロレスに興味がない人が混じっていました。
そこにはプロレスに興味のない「女子大生3人組」と「インスタ映えの写真を撮りまくる美人アラサー4人組」がいました。
きっとこの2組は、これまでプロレスと無縁の人生を歩んできたことでしょう。
そんな女性たちがプ女子になる瞬間を目の当たりにすることが出来るんじゃないか、
という淡い期待をしながら観察してみました。
女子大生3人組
まずは女子大生3人組。
女性たちはずっとスマホをいじりながら会話をしていました。チラチラモニターは見るものの全くのノーリアクション。
女子大生ならイケメンレスラーが出ていたら、目を向けてくれるのではないかと予想していました。
そして、彼女らが明らかにモニターに釘付けになる瞬間が訪れます。
それは、場外で鈴木みのるがYOHI-HASHIをパイプ椅子で痛みつけているシーンです。
しかめっ面な表情をした彼女らは、初めてモニターを見ながら何やら会話を始めます。
さらに、鈴木みのるが鬼の形相で腕固めを極めたりコブラツイストをしたりするシーンでも、ジーっと凝視しているのです。
鈴木のキャッチフレーズは「世界一性格の悪い男」。
イケメンレスラーとは到底かけ離れたレスラー像です。
女子大生なら、かっこいいコスチュームにイカした髪型のYOSHI-HASHIに興味を持つと思っていたけど、
なぜ彼女らは鈴木に対しては興味を持つのか…。
この瞬間、僕は鈴木がインタビューで言っていたある言葉を思い出しました。
ある人に言われたの。
『君らがどんだけすごいことしても、今までなかったプロレスの世界に存在しなかった、もしくは日本になかったものを、新しくやりますよと言ったって、それを人に伝えるにはどうするか知ってる?』
って。すごいことやる…違うよ。
すごい速さで動いたり強くなったり…違うよ。一目だ。一目見て、アレって思ったらそれでこっちの勝ち。
一目見てアレって思わなければ、説明をしなければプロレスの凄さが伝わらないものは新しいものとして誰も受け入れてもらえないよ。一目で、その人の動きを止めることが出来たらコッチに取り込める。
面白い、面白くないだけでいいと思う。
きっと彼女らに聞いたところでなぜプロレスが目に入ったのか答えられないでしょう。
ただ何かに引っかかった部分があったから見た。
鈴木から、心の琴線に触れる何かを感じ取ったのは事実と言えるのではないでしょうか。
「プロレスは見た目ではなく面白いかどうかが重要。イケメンかどうかはさほど重要ではない。」
プロレスファン歴20年の僕が分かっているようで忘れかけていた
「プロレスとは何か」を改めた確認された瞬間でもありました。
彼女らは鈴木戦が終わった頃、店員と会話したのち外の席に移動していきました。
どうやら外の席が空いたら案内してもらうように頼んでいたのかもしれませんね。
よくよく考えたら、あんなに盛り上がっている店内で落ち着いて会話は出来ません。
彼女らとプロレスの遭遇はこの瞬間終わりましたが、興味を持ってくれたのは確かでしょう。
またプロレスと巡り合い、いつかファンになってくれることを密かに願います。
インスタ映えの写真を撮ろうと努力している美人アラサー4人組
女子大生3人組はプロレスに興味を持った反応を見せましたが、もう1組の「インスタ映えの写真を撮ろうと努力している美人アラサー4人組」(以下、インスタ軍団)の反応は全く違いました。
モニターに全く目もくれずマシンガントークの花を咲かせ、インスタ映えしそうな写真を取っていました。
カウントが入る瞬間は会場さながらに歓声が上がるにも関わらず、
インスタ軍団は自分たちが作り上げた隔離された世界を存分に楽しんでいました。
きっと彼女らは、今後の人生でプロレスとは無縁なんだなと思いました。
同じ空間において相反する反応。
興味を持つ人もいれば全く目もくれない人もいる。
まだまだプロレスには伸び代があるんだなと感じたのです。
感想まとめ
今回、HUB観戦をしに行ってみた感想をまとめてみたいと思います。
■モ二ターの大きさや見やすさ
超大モニターはないが、各所に大きめのモニターが設置されているためどの席からでも見やすいです。
■1人で行っても大丈夫かどうか
1人で観戦している人も多数なので問題ないです。
「うわ、この人HUBに1人で来てるよ」と白い目で見られるような雰囲気は全くないので心配いりません。
■観戦している人はいるのか
今回行った東京ドームシティ ラクーア店は、モニターが見える席で約8割の人が観戦していました。
後楽園ホールから近い店舗のため、多くの人が観戦していたのかもしれません。
■プロレス仲間が出来るか
会場観戦と同様、本人次第です。
■音声は聞こえるか
大音量で流れていますが、店内が賑わっているため実況と解説を聞き取るのは困難です。
■友達と行くと楽しそうか
絶対楽しいと思います。
多くの人がプロレス仲間と飲み食いしながら観戦を楽しんでいました。
ツイッターでの口コミも覗いてみました。
やはり、同様に楽しくHUB観戦をした方がいたです。
同僚とHUBのライブビューイング行ってきた!
プロレス全然わかんない女子の目線がかわいくて、ものすごく楽しかった!
周りにもたくさんファンがいてコールしたり拍手したり、盛り上がってたよ。またちょくちょくやってほしーなー!#g128— きにお⛅北枕 (@calcalcalm111) July 20, 2018
https://twitter.com/mikkomikkotw/status/1020300565299904512
終わりに
過去にHUBで放映された日を振り返ってみたら、
下記のように後楽園ホール大会の日に実施されていることが分かりました。
◎2017年のG1クライマックス後楽園大会→3店舗で放映
◎2017年ワールドタッグリーグ後楽園大会→6店舗
◎2018年1月5日後楽園大会→9店舗
◎2018年のG1クライマックス後楽園大会→11店舗放映に拡大
いずれもプレミア度の高い、後楽園ホール大会です。
後楽園ホールのチケットを取れなかったファンの受け皿として用意した施策なのかもしれません。
回を重ねるごとに放映店舗が増えているため、今後都市圏の店舗を中心に拡大が予想されます。
僕はHUB観戦の盛り上がり具合から、遠くない将来サッカーのように
スポーツバーでプロレス観戦が当たり前になる明るい未来が見えた気がしました。